研究概要

本領域の目的

近未来においては様々な家電製品やロボットが自律的に活動するようになるとともに、意図や欲求を持つようになる。そして、意図や欲求を持つが故に、それらは人間との間で、言語を用いながら互いの意図や欲求を理解し合い、共生していくという関係を築くことができるようになる(下図参照)。このような世界がまさに、情報化社会の次に来るべく、人間と知能ロボットや情報メディアが共生する社会である。

このあらたな共生社会を実現する学術分野を創成するために、対話継続関係維持研究、対話理解生成研究、行動決定モデル推定研究、人間機械社会規範研究の4つの研究グループを基に研究開発に取り組む。

また実証実験を企画運営し、4つの研究グループの連携を図ると共に、新たな研究課題の発見と解決や若手研究者の育成に取り組む。さらに、意図や欲求を持つロボットが社会に与える影響を研究するとともに、ロボット共生社会における社会規範を提案する。

本領域の内容

上記の目的を達成するために、多様な分野の研究を融合しながら、以下の研究に取り組む(下図参照)。

対話継続関係維持研究
対話内容を完全に理解できない場合も、違和感なく対話を継続できる能力を実現する。
対話理解生成研究
特定の状況において、特定の目的に関して対話理解と対話生成を組み合わせた対話能力を実現する。
行動決定モデル推定研究
ロボットが自らの行動決定モデルを構築したり、また、相手の行動決定モデルを推定する機能を実現する。
人間機械社会規範研究
実証実験とともに開催するシティミーティングを通して、意図や欲求を持つロボットの人々への影響を研究するだけでなく、ロボット共生社会における社会規範を提案していく。

本新学術領域では総括班が先導しながら、実際の社会において、開発した対話情報メディアや対話ロボットを用いた実証実験に取り組み、その実証実験において、解くべき新たな問題を発見していく。そして、意図や欲求を持ちながら人間と共生できる、全く新しい対話ロボットや情報メディアを試作し、情報メディア社会の次に到来するであろう知能ロボット・情報メディア共生社会の可能性を探索する。

期待される成果と意義

本領域の研究により、人間が機械や情報メディアに命令を伝える、人間と機械の一方的な道具的関係から、人間と機械が互いに共生する関係に発展させることができる。具体的には、機械や情報メディアの自律化が進むとともに、そこでは言語を通して、人間と機械や情報メディアが、互いの意図や欲求を推定し合いながら関わり合うという、新たな人間との関係が築かれる。